火曜。夕方にドラゴンをピックアップして和田山の食堂よしへ。ついにこの日が来てしまったかという感じ。嬉しいけれど終わってしまうぜという旅のあの感じだ。こういう動きをドラゴンとするのは今回で3回目になるのだが全て但馬に行っている。1時間ちょっとの絶妙な距離とナイスな酒場の組み合わせ。時間の都合をつけられる自営業チームならではの動き。三田西から高速に乗り、春日で但馬方面に向かうとあっという間に和田山。途中、国産大型セダンが2台。覆面かと思うやつ。覆面に出会った事とか捕まったようなハナシをドラゴンと色々。お互いの若い時分の話が車内で繰り出されて楽しかった。ドラゴンは四国でスバルの覆面を見たことがあるそうだった。盲点というか。気をつけねば。なんやろね。レガシーかなぁ。和田山インターで降りてホテルにチェックインする前にコンビにで極みを購入した。ペパリーゼの良いやつ。和田山の駅周辺はコンビニが無いのだ。
宿は駅から離れたエリアワンというホテル。駅前には宿がいくつかあるのだが、門限があるので今回は断念した。エリアワンは界隈唯一の門限無しだった。タクシーで向かおうとしたのだが、来るまでに時間がかかるというので歩くことにした。このチェックイン後に酒場へ歩いて向かうムーブがとにかく良い。最高の瞬間だと思う。歩道の無い道を食堂に向かい歩いた。大きな川を渡り、線路を越えると古く味わいのある静かな町並みに入る。駅の方へ淡々と歩くおじさんが2人。宿屋てつやの看板が見えたら到着したようなもの。エリアワンから20分くらいだった。途中にあった横断歩道は普通の時差式なのだが、ボタンを押さないと歩行者信号が変わらなかった。初めてであったな。エリアワンから食堂よしに歩くムーブをする方は信号に注意されたし。
2ヶ月ぶりにやってきた食堂よしは当たり前だが完全にお店になっていた。ボルツのランプと電球、看板、のれんが良い感じ。のれんの上のアールもお店らしいよね。照明と電球はうちを使ってくれたのだが、電球は暗いかも?と思ったが丁度良かった。ほんのりとした良い呑み屋の灯りだ。風情があった。こんばんはと入店。先客は2人。カウンターの中には当たり前だがヨシ君が居た。嬉しさとドキドキがないまぜ。ヨシ君もとても嬉しそうだった。店主とその前にあるドラゴンが手がけた分厚いブラックチェリーのカウンターと編座面のハイチェアーがとても良かった。グレーの無機質な壁の空間に繊細さと柔らかさをもたらしている。L字で7人、詰めたら8人座れるかな。この日は7人編成だったが良い距離感だった。お店のグルーヴを共有してそして呑んで食べて全員で盛り上げていく感じ。
事前に全メニューを食べますと伝えていたので、おまかせで出してもらった。
● 食堂よし 9月12日(火) メニュー一部
お造り 鰆 鱸 甘エビ 白いか
自家製漬物盛り合わせ
自家製豆乳胡麻豆腐
桜えびレンコンさつま揚げ
だし巻きたまご
ローストビーフ無花果ソース
さんま、舞茸、大根菜の土鍋ごはん
などなど
とにかく一杯目の瓶ビール赤星はしびれた。ラベルがまずもって好きだよな。加熱ビールラガーの変わらない安定感のあるウマさよ。ビールとともに出されたコップは数年前に当店で買ってもらい今回お店で本採用されたイタリアの食堂コップだ。あの頃はヨシくんに三田で店を出してもらいたいと言っていたのだけれど。コップは厚みとサイズ感が絶妙だった。日本酒もこれで提供されたのだがとても良かった。万能。格好をつけていないけど素敵感のあるコップというかね。酒と飲み手をしっかりつないでくれる。丈夫で割れる事は無さそう。でも念の為、バーンのストックにはこれを6個ともう1種使ってもらっている薄手のコップもいくつか食堂よし用に置いている。
あと当店からはCANASAの器も取り皿と料理用の小皿も食堂よしに。彼女の器もお店と料理にとても合っていた。安納芋のポテサラが乗っていたのだが、ぴったりだった。なんか可愛かったな。この器があるからこの料理というのが当たり前のことだろうけれど、料理人と器の関係に思いを馳せながら食べて呑むのがとても味わい深かった。CANASAの長嶺さんも食堂よしで器が使われることをとても楽しみにされていた。器達の様子をしっかり確認しましたで。その他、器はこれまでヨシくんが買った民藝ものや作家ものが混ざりカウンターの上に並んでいたがこれも良い風景だった。器はどんどん料理に使われるので後半になるにつれてカウンターがひろくなっていった。
料理は秋茄子の出汁のやつからお造り、揚げ物と順番に進んで行ったが、どれもとてもおいしかった。ドラゴンはプレオープンの時にも食べていたのだが、味が濃くなり良い感じと何度も言っていた。唯一、地物のもずくの天ぷらだけは味が薄かったので正直に薄かったでぇと言ったら驚いていた。すんまへん。酔っぱらいの舌なので。でもまぁもずくのてんぷらというのは色んな場所で食べたが、味の拠り所が無いようなきがする。そういうものかもしれない。食材はその日使う物をその日買いに行くスタイル。北に行ったり、南にいったりするそうだ。カウンターのお客様1回転だけの1回勝負という営業スタイルが良い。
ヨシくんは相変わらずキビキビした気持ちの良い動きで料理をしていた。タニガキの頃より迫力と繊細さが増した感じ。自分のお店で自分が考え料理したものをお客さんに食べてもらって生きていくってほんと素敵やね。うちのヨウタロウにもこの姿を見せてやりたくなった。
あと食堂よしのウリでもある日本酒もおすすめのものを色々呑ませてもらった。ラベルを撮影したらよかったけれど飲み気が勝ってしまいあかんよね。にいだしぜんしゅの濁ったおいしいやつ、田中六五の加水されてすいすいはいったおいしいやつ、日本酒どまんなかの奥丹波のひやおろし、あと日本酒レモンサワーのヨー子のレモンサワーも味に厚みがあってとても美味しかった。日本酒いいなぁ。終盤はあんまり記憶がないのだが、酔っぱらいのおじさんたちはヨシ君が閉店作業を完了する23時半まで見守った感じ。一緒にホテル方向へ帰るつもりだったのだが、ドラゴンがタクシーに乗る〜!と言ったのでお店の前でヨシ君と別れ、僕らは和田山駅前に停まっていたタクシーに飛び乗った。
●食堂よし
地元の食材とお酒のちいさなお店
OPEN : 18:00 – 22:00
兵庫県朝来市和田山町寺谷684-1
TEL : 080-5252-1159
https://www.instagram.com/shokudo_yoshi/
翌朝は5時頃に起床。良いお酒は残らない。ゴレイサンと極み、水分も沢山摂取してのあれだけれど、頭痛も何もなかった。シャワーを浴びてゴロゴロ。7時半頃にドラゴンからあさんぽ連絡があったので2人で歩きに出た。曇った重たい空。北らしい風景だ。三田は瀬戸内気候に属していてパキーンとした晴れが多いのでこういう空もとても味わい深い。ホテルを出て歩いているとすぐに軽の四駆に乗ったおじいさんに道を聞かれてしまった。おれたちアウェイ感が出てなかったかしらね。近づくと印刷されたざっくりした地図を見せ印がしてあるところに行きたいとのこと。何となく分かったので、そこの信号を越えて左ですわと伝えた。水曜一発目の出会い。とりあえず川の方まであるいた。まわりに見える山々にはガスのようなものがかかっていた。ふいにドラゴンが竹田城で雲海みれるんちゃいます?と言った。調べたら雲海の季節に丁度入ったところだった。これは行ってみるしかないぜとホテルに戻り音速チェックアウト。ロビーには手作りの竹田城の案内があった。この景色の場所に行くorこの景色を見ると分かりやすく書かれていた。竹田城に登るよりかは向かいの立雲峡から眺めたほうが手っ取り早そうとなったのでそちらに行く事に。立雲峡は将軍が城から眺めるためだけに桜の木を植えた山だそう。ホテルから15分ほどで到着。駐車場から数分登った第三展望台で竹田城を眺めるとぎりぎり雲がかかって良い感じだった。とても良い物がみれたって感じで2人とも大満足だった。出来ればこれを眺めながらミルで豆挽いてコーヒーを飲みたかったな。ヨシくんとの待ち合わせの時間まではまだあったので、竹田城のふもとをぶらぶら。それから食堂ヨシでヨシくんと合流した。
この日のメインはオークヤードでランチ。営業開始までまだ時間があったので、好きな神鍋の道の駅へいくことに。ヨシくんも野菜が仕入れられるかもしれないと嬉しそうだった。和田山から30分ほど。到着していざ入店しようとしたらなんと臨時休業だった。いやん。どないしようもないのでそのままオークヤードへ向かうことにした。でもこの高原に来れただけで良かったな。スカッとしていて。高原好きなんだわ。ちなみにドラゴンも高原好きっすと言っていた。神鍋を下る時にはヨシくんが小さい頃から通う老舗の和菓子屋さんがあったので、そこでとち餅を購入した。実は道の駅でとち餅を買おうとおもっていたのだった。嬉しい。これから絶対に立ち寄るポイントにしよう。とち餅は独特の風味があって好きだ。とちの実はアクを抜くのに大変だそう。そして縄文時代から食べられていたやつなんやでぇ。とち餅とおじさん3人はそのまままた北近畿道に乗り、播但道を乗り継いでオークヤードに向かった。
オークヤードさんは何度も当店にこられていて、その度に行きますと伝えていたがなかなか行けなかった。今回いよいよで念願かなったかんじ。開店時間丁度だったのだが行列が出来ていた。すごいぜ。1巡目に入る事ができなかったので、どないしょうとなったのだがシブい道の駅で時間をつぶして12時頃入店。おこわ定食と無花果パフェを食べた。定食はおこわと季節の天ぷらがたくさん。どちらもとても美味しかった。店の熟練度がそのまま出ているというか。パワーがあるというか厚みが有るのが定食から出ていて素晴らしかった。出て来るスピードも早かった。プロだぜプロ。そしてパフェもおいしかった。甘さが抑えられていてなんぼでも食べられるかんじ。見た目も綺麗。色んなパフェを目にするが一番綺麗だと思う。嬉しくって撮影したらパフェの向こうには似たような色をしたポケTの男2人が座っていて面白かった。店内男3人組はオレたちだけというのも気持ちが良かった。また今度奥さんと一緒に来なければ。店主のJさんは明るくて、さっぱり凛として素敵な店の空気作っていらっしゃった。帰りがけに挨拶するとまたいきまーすと元気におっしゃった。
満腹のおじさん3人はまた和田山に戻り、食堂よしでヨシくんを降ろし、おじさん2人編成になり三田に戻った。途中、まほろばではイチョウのまな板をおみやげに買った。