May 30, 2017
別人帳
・別人帳 ¥600+TAX
文 いつか床子
表紙イラスト のむらあい
あなたの今日これから(あるいは近日中)の一日を、
「最良の一日」になると仮定して教えてください。
フィクションを交えてくださって構いません。
起こりうる範囲での理想や希望を交えて、
ご自由にお答えください。
なお、個人的な興味により、食べるものについては
執拗にお伺いします。
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素敵なリトルプレスが到着。
上記のテーマに即して、作者のいつか床子さんが、
様々な職業の人達にインタビューを行い本にしたもの。
漫画家や編集者、デザイナー、学生等、総勢13名
それぞれのこれから起こる、なんてことのない、
でもちょっとうまくいったいつもの一日が収められている。
また、のむらあいさんというイラストレーターによる
表紙の絵は、懐かしいような新しいようなタッチで、
この本をより魅力的なものにしている。
目次にはそれぞれの一日に出てきた食べものの名前が
タイトルとなって並んでいて、どれもに興味をひかれて
しまった。メニューから選んだ先にあるそれぞれの一日は、
現実と理想のはざまならではの独特の浮遊感があって、
それは拠り所が有るようで無いようで、でもなんだか
とても親近感を感じる営みだった。読んでいる間はその人に
なったような感覚にもなった。
作者のいつか床子さんからコンタクトを頂いたのは10日程前。
本の詳細、本文サンプルを頂いて、すぐにお取り扱いしますと
お伝えした。2回目のキャッチボールの時に床子という名前や
普段何をされている方なのか、あと本が生まれた
バックボーン等を色々と聞いてしまった。
床子さんはそわそわされたものの、ご丁寧にお教え下さった。
いつかお会いしたいな。
営業用の資料には彼女の本への想いが素敵な言葉で
綴られている。
「どこの誰かはわからない。存在しない人のように思えるけれど、
存在している人。
新幹線で追い越してしまう、知らない町の知らない部屋に住んでいる、
知らない誰かとすれ違う本。
どうか書店で、車窓ですれ違うように出会ってほしいと思っています。」
携帯電話やSNSの発達で人と人の距離が近い今の時代だからこそ、
この本が発する意味や魅力を強く感じる。