・April 20, 2012『ほんもの探し旅』

bs42.jpg出版社:草思社 著者:小林泰彦 1983年

My Book 100の最初の1冊はこの本に決めていた。
小林泰彦さんのことを知ったのは、そう古くなくて、京都・下鴨の古本まつりに通い始めた頃だから10年程になる。文庫の均一平台で新潮文庫の「アウトドア・ライフ入門」を見つけた。山登りや自転車、カヌーなどのアウトドアスポーツを紹介したもので、リュックやブーツを紹介したカラーの図版も多くてとても楽しく読ませてもらった。
以降、本屋や古本屋で泰彦さんの本を見かけると買い集めるようになった。
晶文社の「絵本・小京都の旅」や文芸春秋社「イラスト・ルポの時代」など。

「ほんもの探し旅」と出あったのは、買い集めるようになってしばらく経ってからだ。これも出会いはふるほんで、神戸の古本屋さんで見つけた。本棚から取り出しページをめくると、さまざまな物のイラストが目に飛び込んできた。そして目次を見て鳥肌が立つくらい興奮したのを覚えている。その頃にはポパイやメンズクラブなどでも、泰彦さんがモノを紹介している記事をみかけてはいたので、ついにこれぞ!な本に出会ったと嬉しくなった。この本には、ナイフ、リュック、スニーカーなどが沢山紹介されていて、興味があるものばかりだったので、夢中で文章とイラストを追いかけた。

物の詳細なディテールと、深い背景がとても分かりやすく書かれていたし、独特の線で描かれたイラストと、柔らかな描き文字も味わい深く、本の存在をより魅力的な物にしていた。特にデイパックやランニングシューズが沢山描かれたページ、シェーカー村のことを紹介した項目が好きだった。初版は83年。今の時代だったらネット検索で簡単に情報が手に入るが、当時こういった本は貴重だったと思う。

出会った頃の自分は、雑貨屋に勤めはじめた時でもあるので、その後のモノ選びの目線、モノに対する姿勢なんかは、この本に出会う出会わないでは、大きく変わっていたと思う。独立してモノを扱う店をはじめるにあたり、本棚からこの本を取り出し、久々に最初から最後まで目を通した。モノを店で売る時代じゃなくなっているかもしれないけれど、背景を宿したほんもののモノがある場所には、きっと大きな力があるはず。

お店をはじめようと思ったのは、この本がきっかけかもしれない。


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